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モバイルバッテリーが発火したメーカーの現状と安全な選び方

近年、私たちの生活に欠かせない存在となったモバイルバッテリーですが、その普及と比例するように、発火事故の報告が後を絶ちません。
これらの事故は、便利さの裏に潜む危険性を浮き彫りにし、多くの人々に不安を与えています。
特に、小型で高出力なリチウムイオン電池を搭載した製品は、そのエネルギー密度の高さゆえに、取り扱いを誤った場合、深刻な事故につながるリスクを内包しています。

モバイルバッテリー発火事故の現状と安全な使用のために

発火事故を起こしたメーカー

モバイルバッテリーの発火事故は、特定のメーカーや製品に限定されるものではなく、残念ながら、その範囲は広範にわたります。
過去には、国内外の著名な大手メーカーを含む複数の企業が、製品のリコール(回収・修理・返金など)を発表しており、その原因は多岐にわたります。
製造上の初期不良、設計上の欠陥、そして最も重要な品質管理体制の不備などが、事故の引き金となるケースが少なくありません。
これらのリコール情報は、消費者にとって製品の安全性を見極める上で、極めて重要な情報源となります。

安全なモバイルバッテリーの選び方

安全なモバイルバッテリーを選択するためには、いくつかの重要なポイントを理解し、実践することが不可欠です。
まず、製品の仕様を詳細に確認し、信頼できる安全基準を満たしていることを示す認証マーク(例えば、日本ではPSEマーク)が付与されているかを確認しましょう。
これは、製品が一定の安全基準を満たしていることの証です。
さらに、メーカーの信頼性、すなわち、過去の製品に関する評判、サポート体制、そして万が一のリコール発生時の対応などについても、事前に調査することが賢明な選択につながります。
インターネット上でのレビューや、第三者機関による評価なども参考にすると良いでしょう。

モバイルバッテリーの安全な使い方

製品を選ぶだけでなく、日々の使用方法においても、事故のリスクを最小限に抑えるための細心の注意が必要です。
正しい保管方法、充電方法、そして廃棄方法を実践することで、事故の可能性を大幅に低減することができます。
例えば、充電中の放置や、熱のこもりやすい場所での使用は厳禁です。
また、製品が膨張したり、変形したりした場合は、直ちに使用を中止し、専門の窓口に相談することが重要です。

過去の事故事例から学ぶ教訓

2025年7月に発生したJR山手線の車内でのモバイルバッテリー発火事故は、多くの乗客に恐怖と混乱をもたらし、公共交通機関における安全対策の重要性を改めて認識させる出来事となりました。
この事故の原因は、残念ながら過去にリコール対象となっていた製品が、消費者に十分に周知されず、未回収のまま使用されていたことにありました。
この痛ましい事例は、リコール情報の迅速かつ効果的な周知徹底、そして消費者自身が所有する製品のリコール状況を積極的に確認することの重要性を、極めて強く浮き彫りにしました。
この事故により、複数路線が長時間にわたり運休を余儀なくされ、多数の乗客の移動に甚大な影響が出ました。
事故後の調査では、メーカー側は製造を委託していたサプライヤーにおける品質管理の不備が原因であると説明しており、グローバルなサプライチェーン全体における厳格な安全管理体制の構築が、喫緊の課題であることが示唆されました。

事故統計データが示す現状

東京消防庁が発表している統計データによると、リチウムイオン電池を搭載した製品による火災件数は、年々増加傾向にあります。
特に2023年には、過去最多となる167件もの火災が発生しました。
2024年も上半期だけで107件が発生しており、このペースで推移すると、年間200件を超える見込みです。
中でもモバイルバッテリーは、単体製品として火災件数全体の約26.3%を占めており、そのリスクの高さが統計データからも伺えます。
火災の主な原因としては、通常使用中の事故が最も多く報告されていますが、次いで外部からの衝撃による損傷や、不適切な充電方法などが挙げられています。
製品自体の欠陥や、リコールに関連する出火件数は、統計上比較的少ない割合ですが、これは表面化していない問題や、リコール情報が消費者に十分に伝達されていない可能性を示唆しているとも考えられます。

リコール対象製品一覧と注意喚起

2020年以降、数多くのモバイルバッテリーがリコール対象となっています。
例えば、2025年7月1日にはBigblue Tech社の「リチウム電池内蔵充電器 X tormモバイルバッテリー」、2025年6月26日にはアンカー・ジャパン社の「Anker Power Bank」「Anker MagGo Power Bank」などが、自主的なリコール対応を開始しました。
これらに加え、CIO、ノジマ、ベルキン、エアージェイ、イケア・ジャパン、Shenzhen Baseus Technology Co., Ltd、llano、ゼンデュア・ジャパン、レノボ・ジャパン、ティ・アール・エイ、ロア・インターナショナル、ベイシア電器、ヒロ・コーポレーション、アベル、ポケモン、メテックスといった、数多くのメーカーの製品がリコール対象として公表されています。
これらの製品は、製造上の不良や設計上の問題などを理由に、回収が進められています。

メーカー別リスク分析

リコール対象製品の多さや、過去に大規模なリコールを発表した経緯のあるメーカーは、相対的にリスクが高いと判断せざるを得ません。
例えば、アンカー・ジャパン社は、2025年6月に約47万8,000台という、極めて大規模なリコールを発表しました。
この原因は、同社が製造を委託していたサプライヤーが、品質基準を満たさない部品を無断で使用していたことにありました。
この事例は、グローバルに事業を展開する大手メーカーであっても、サプライチェーンにおける厳格な管理体制の構築がいかに重要であるかを浮き彫りにしました。
また、ティ・アール・エイ株式会社が販売する「cheero Flat 10000mAh」においては、リコール対象製品であったにも関わらず、事故の原因となった事例が報告されており、リコール情報の周知徹底や回収プロセスの実効性にも、依然として課題が存在することが示唆されています。
メーカーによる事故発生時の迅速かつ透明性のある対応は、製品の信頼性を評価する上で、極めて重要な要素となります。

安全規格の確認方法:PSEマークの重要性

モバイルバッテリーの安全性を確認する上で、最も基本的かつ重要な指標となるのが「PSEマーク」です。
PSEマークは、日本の「電気用品安全法」に基づいた、国内で販売される電気製品に対する安全認証制度であり、2019年2月1日以降、国内での販売には丸で囲まれたPSEマーク(○PSE)の表示が義務付けられています。
このマークが付与されている製品は、通常使用時の安全性、落下試験、異常高温時の安全性、耐火試験、短絡試験といった、国の定める厳格な安全試験をクリアしていることを証明するものです。
製品本体やパッケージに表示されているPSEマークを確認する際には、その隣に記載されている届出事業者名、製品の定格容量、定格電圧といった情報も併せて確認することが、より安全な製品選びにつながります。
インターネットを通じて製品を購入する際には、商品ページにPSEマークの画像が掲載されているかを確認するとともに、経済産業省が公開している「電気用品安全法届出事業者データベース」で、事業者情報を照会することも推奨されます。

信頼できるメーカーの見極め方

信頼できるモバイルバッテリーメーカーを見極めるためには、製造・品質管理体制の透明性、購入後のアフターサポートの充実度、そして業界団体への加盟状況などを総合的に評価することが重要です。
優良なメーカーは、自社の公式サイトにおいて、製造工程の詳細や品質検査体制について、非常に詳細な情報を公開しています。
また、製造を委託しているサプライヤーの管理方法についても、明確な説明を行っている場合が多いです。
さらに、製品に関する問い合わせに対する迅速かつ丁寧な対応や、万が一リコールが発生した場合の、スムーズな回収・交換手続きを提供しているかどうかも、メーカーの信頼性を示す重要な指標となります。
日本国内においては、Sony、ELECOM、BUFFALO、サンワサプライといったメーカーが、安全性に配慮した製品開発と、充実したサポート体制で、多くのユーザーから高い評価を得ています。
一方で、極端に安価な製品、メーカー名や連絡先が不明確な製品、そして頻繁にリコール履歴がある製品については、購入を慎重に検討すべきでしょう。

日常使用における注意点

モバイルバッテリーを安全に使用するためには、充電を行う際の環境と、携帯する際の取り扱いに細心の注意を払う必要があります。
充電を行う際は、必ずご自身の目の届く範囲で行い、布団や衣類の下、クッションの間など、熱がこもりやすい場所での充電は絶対に避けてください。
これらの場所での充電は、内部に熱が蓄積し、発火のリスクを著しく高めます。
また、夏季の車内放置や、直射日光が強く当たる場所での使用も、内部温度を急激に上昇させ、発火リスクを高めるため、絶対に避けるべき行為です。
モバイルバッテリーをポケットに入れたまま長時間座ったり、カバンの中で強い圧力がかかったりすることも、内部構造を損傷させる可能性があるため、注意が必要です。
製品本体に膨張や変形が見られたり、異常な発熱、充電・放電機能の異常などが確認された場合は、直ちにその使用を中止し、専門の窓口に相談してください。

正しい保管方法の実践

モバイルバッテリーを安全に保管するためには、適切な環境を選択することが極めて重要です。
直射日光の当たる場所や、高温多湿な場所は避け、湿度の低い、比較的涼しい冷暗所での保管が理想的です。
特に、夏季の車内は非常に高温になるため、絶対に保管場所として使用しないでください。
長期間にわたってモバイルバッテリーを使用しない場合、満充電の状態ではなく、充電量を50%程度に調整しておくことが、電池の劣化を抑え、安全性を維持する上で推奨されています。
また、保管中であっても、定期的に製品の外観や機能に異常がないかを確認することが望ましいです。

適切な廃棄方法の実施

使用済みのモバイルバッテリーや、故障してしまったモバイルバッテリーを廃棄する際には、一般のゴミとして安易に捨てるのではなく、リチウムイオン電池専用の回収ボックスを利用するか、販売店が提供している回収サービスを活用することが極めて重要です。
一般ゴミとして廃棄されたモバイルバッテリーが、収集・運搬・処理の過程で、他のゴミと接触したり、圧迫されたりすることで、発火事故を引き起こす危険性が非常に高いからです。
多くの家電量販店やホームセンターでは、無料の回収サービスを提供していますので、これらの公共のサービスを積極的に利用しましょう。
廃棄する前に、メーカーの指示に従って、内部に保存されている個人情報やデータを消去することも、忘れないようにしてください。